官 「いずれへ参られる」
歳 「参謀府へゆく」
官 「名は何と申される」
歳 「名か」
歳三はちょっと考えた。しかし函館政府の陸軍奉行、 とはどういうわけか名乗りたくはなかった。
歳 「新撰組副長土方歳三」
といったとき、官軍は白昼に竜が蛇行するのを見た ほどに仰天した。
官 「参謀府に参られるとはどういう用件か。 降伏の軍師ならば作法があるはず」
歳 「降伏?」
歳 「いま申したはずだ。新撰組副長が参謀府に用がありとすれば、斬り込みにゆくだけよ」
139年前の昨日(旧暦で)、一人の男の中の男の中の男の中の 男が死んだ。
土方歳三。
時勢が変わり、世の善悪が変わっても、男を貫く歳三。
号泣、
と言えば、京都供養巡りでは勿論壬生寺も行ってきました。
加茂の河原に 千鳥が騒ぐ またも血の雨 涙雨 武士という名に 生命をかけて 新撰組は 今日も行く
恋も情けも 矢弾に捨てて 軍かさねる 鳥羽伏見 ともに白刃(しらは)を 淋しくかざし 新撰組は 月に泣く
菊のかおりに 葵が枯れる 枯れて散る散る風の中 変わる時勢に 背中を向けて 新撰組は 何処へ行く