おもしろき こともなき世を おもしろく

  1. 粋華志義
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職務質問を受けてみた

 2000年、それは世紀の始まりだった。いや、公式に言うと21世紀は2001年からだが人々は気にしない。新たな時代を迎えたことに人々は酔いしれた。そんな前年にあたる1999年にはノストラダムスの予言がどうのこうのあり騒ぎ出していた頃で、今年成人式を迎えた世代はちょうど鼻水垂らして「だんご三兄弟食べたい!ペコペコ!」とかうつつを抜かしていた頃だ。

この年の暮れ、つまり2000年に変わる瞬間にあらゆるコンピュータの誤作動が予想されたものだった。2000年になる瞬間というのは、大きなイベントだ。そりゃそうだ。侍の父、頼朝まで遡っても経験したことがない大台の変わる瞬間である。

巷ではこのイベントはイベントで、俗にいう“お祭り”であった。ふつう大晦日には、毎年お祭りムードがただよう。出店が出て、年越しそばを食べ、神社には初詣に訪れ、日本人がみんなで新年を祝う。しかし、それ以上に2000年になる瞬間というのは、やはり通常以上のイベントであったであろう。

花火が打ち上げられ、有名人なんかも登場し、各所で“2000年パーティ”が催されていた。そんな中、私は、某ホテルのエレベータを止めていた。何せ世間は“お祭り”でも、こちとらコンピュータ誤作動の問題があり、エレベータひとつでも誤作動を起こすんじゃないか、っていう緊迫感に追われていた。

まぁ、運悪く私、社会に出た初めての年が1999年で、社会に出て初めての大晦日がこの世紀の一大イベント、それが夜勤だったんですね。そりゃ新人の私としては、喜んで!というしか道がないんですね。2000年で仲間が別のところで「だんご三兄弟おいしい!ペコペコ!」とか言ってても、私にはエレベータしか見れなかった。

10分くらい前からですね、宿泊客がエレベータ乗ろうとすると止めるんですよ。誤作動の問題を説明してですね。まぁ、状況が状況なんで、みなさん、理解はすぐいただきました。で、その時は一人じゃなく先輩とELV止めてたんですがね、2000年になった瞬間、二人でぴょんぴょんハシャいでた。やったーやったーって。お客さんも一緒で。

皆さんは、どんな2000年を過ごしましたか。

そんな2000年、あれから10年ですね。誤作動もなく新年を迎えた2000年の、とある日のことです。休みの日で、原付を乗ってたんかなー、たしか。警察に止められました。まぁ、俗に言う“職務質問”です。別にね、怪しい言動をしてたわけでもないのに、とにかく捕らえられた。

うわ~おもろい。これが、職務質問かぁ~なんて思いながらわくわくしてた。当然職業をはじめに聞かれるわけなんですね。「(某)ホテルマン」なんて言ったら明らかに驚いていた様子で、「何で(某)ホテルマンともあろう仕事をしている人がそんな格好をしてるんだ」みたいな顔でしたね。

いやね、特にすごい格好をしてたわけじゃないんですよ。お洒落でピアスくらいはしてたとは思うんですが、まぁ、所謂一般のホテルマンのイメージとはちょっと違ったんかなぁ。でも、プライベートに自分のお洒落を楽しむくらいの権利は、ある。

でもね、思ったんですよ。「何故にボク?」って。他に怪しそうな人っていくらでもいるじゃない!って。でもまぁ、しょうがないんですね。それが警察官の仕事ってやつでやんすね。疑うことが。今ではまぁわかります。そりゃボクだって疑うことが仕事なら、聞きたくなるかもしれない。バイクの色ショッキングピンクだし。ショックやね。

今は2010年、つまるところあの2000年から10年が経った。ボクという人間も、10年も経てば成長するもんだ。10年生きれば、色んなことがありますよね。でも、変えたくない部分も、ある。どんどん進化させていきたい、成長させていきたい部分と、信念、というか、自分の哲学というか、変わらない部分だってある。

10年経ったけど、警察官に質問された。「職業は何ですか?」10年ぶりの展開でしたね。夜中2時に、森三中の「キャッツアイ!」みたいなポスターの横を通り過ぎて、どんな表情してんのかムショウに気になって3メートルくらい戻って、そうゆう動作をしたら、捕らえられた。ひっとらえられた。

でもね、10年前と変わっていたのは、警官の年齢だよね。明らかに自分より年下。もう自分はこんな歳になったんだなって。質問が終わって警官が礼をする姿も、粋だった。終始、明らかに目上の人に対する礼、日本の警察は素晴らしいですね。

でもね、同時に思ったことがある。一般には、自分が所属する団体、会社、グループの創業者くらいは知っているだろう。彼等警察官の「礼」を受けた時、ふと日本警察の父、

川路利良を想い出した。

「川路さん、あぁたの育てた日本警察は、立派に任務を果たしていますよ」ってね。まぁかく言う私は何者でもないんですがね。 でも、ほんとに日本警察は、素晴らしいと思います。そりゃね、中には問題児もいますよ、そうじゃなくて、全体的な話。そりゃね、アレ系とも繋がっているでしょう、そうじゃなくて他ん国は警察自体がマフィアなところがいっぱいある。いつかログりましたけど、どこぞの国の警官なんぞ9万円くらいカツアゲしてくる。意味わかんない。

この粋。日本の文化だといえばそうかも知れないが、とにかく私は大警視・川路利良を想い出す。当時世間では、日本を列強の力から守りヒーローだったはずの武士が、700年もの間君臨し続けたその存在すらなくされてしまう混乱の時期だったが、川路は奔走した。自分の親分、西郷どんが下野したときも、川路は奔走した。日本のために。日本のために、「警察」という概念をフランスより持ってきて、その信念はほぼほぼ“狂”と呼べる境地であったであろう。

そんな川路大警視を想いつつ、家路に帰るのでした。彼ら(さっきの警官)達は川路利良を知っているのかな?知ってても、フランスで川路が大便を列車から外に投げ捨てたことまでは知らんだろう、とか満足げに家路につくのでした。

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