本日も御國ノ為御勤め御苦労様で御座居ます。
今日約束の時間にお客さんのところに行ったところ、 電話で話をされている。
10分経過。
どうやら問題が起きているようで、 お客さんの、その表情は必ずしも明るくない。
今、 「必ずしも~ない」 という表現を使った自分が何処となく「cool!」と思った。
そんなことを言っているうちに物語は 20分を経過した。
お客さんの表情は「必ずしも明るくない」ままだ。
問題は必ずしも軽くないらしい。
30分が経過。
他の社員の人が申し訳なさそうに 「申し訳ございません・・・もう少々お待ちください」 と言う。
いやいや、そんなに気を使わないでください。
45分が経過。。
こうしている間にも、他の来客が著しい。
その出入り、翔ぶが如く、翔ぶが如く。
ついに、1時間経過。。。
大げさとかではなく、ずっと電話をされている。
出直した方が双方にとって良いかな、とも思った。
にしても、ボクより後に入ってきた来客が自分のことをいちいち気にする。
自分よりボクの方が早く座って待っているもんだから、 「次の方ど~ぞ」 みたいな雰囲気になっても、 「あ、ど~ぞ」 と、言わざるを得ない。
その都度、 『あ、いいんですか?先に順番待ちしてるんじゃないんですか?』 みたいな顔をされる。
・・・おもしろくなってきた。
1時間15分が経過。。。
他の社員の人が、もう一回来た。
「あの…、私で解る事でしたらお伺いいたしましょうか?」
いえ、社長じゃないと、ダメなんです。
それにしても来客が甚だしい。
依然、 「あ、ど~ぞ」 と言う自分がいる。
するとまたあの表情だ。
『あ、いいんですか?』
何回やるんだ、このやり取り。
・・・まだ電話しているお客さんが ジェスチャーで「ごめん、ごめん」と言っている。
1時間30分経過・・・。
出直してもいいのだが、今話しておきたい件なので、松。
普通の人だったらイライラするのかな。
イライラは決してしないのだが、1時間半も待っていると、 さすがに色々考え事なりしていて、 時々でも無表情になっているだろう自分に気づく。
その時思い出した、この言葉を。
「武士というものはな、たえず風が吹きとおっているような人間でなくてはいかん」
そうだそうだ。
いかん、いかん。
これでは風が吹きとおっていない、 無表情という壁でふさいでいる様なイメージを感じた。
すかさず表情に精気を入れる。
こうして今日も自己を啓発する。
1時間45分経過・・・。
お客さんが立ち上がり、伸びをした後 ボクの方にやってきたとさ。
ところで、「風が吹きとおっている」と言えば、
桐野利秋もまた、そのような人物であったらしい。