となるといささか自分のやり方にも疑問を持つようになりました。
私は前述しました。この時には、
「カルティエ」というその5文字を見るだけで「きれいだな」と
無意識のうちに思うまでになってしまいました。
このことは、もしかすると危険かも知れない、
という自分への疑問です。
たしかに、
カルティエの製品は(特に私にとっては)魅力的なのかも知れない。
しかし、
カルティエ“だから”きれい、ということではないはずなのだ。
ダイヤモンドの4Cと同じで、
鑑定機関による4Cのグレーディングによって
その良し悪しが決まってくるのではないのです。
この当時、
ブランド雑誌を意識してみるようにしても、
気がつくとカルティエばかりに目が行っていたものです。
ブランドによっては“らしさ”とでも言うべき傾向があるので、
カルティエに関しては見たことがない初めて見るデザインでも、
時には解るまでになっていました。
そして、
それからはまんべんなく興味を持って
他のブランドデザインも見るようにしていきました。
私は矛盾を言います。
しかしながら、ブランド
―ここでは、ヨーロッパの著名なスーパージュエリーブランドのこと―
は確かにきれいなものであります。
デザインは繊細でセンスに富んだものが多く、
クオリティー技術も果たして高いものです。