粋華志義

幕末最大級、継之助の義。

 ―――考えてもみよ。

と、継之助はおもう。

いまこの大変動期にあたり、
人間なる者がことごとく薩長の勝利者におもねり、
打算に走り、
あらそって新時代の側につき、
旧恩をわすれ、
男子の道をわすれ、
言うべきことを言わなかったならば、
後世はどうなるのであろう。

―――それが日本男子か。

と、おもうにちがいない。

以上、“峠”より抜粋