粋華志義

タイで産まれた子の日本国籍がなくなった場合の対処方法、の実録。その4

さて、在留資格認定証明書が取得できたことにより、妻子ともに長期ビザも難なく取れました。これで一年間は日本に住めることになります。この後の流れ、ポイントは以下のとおり。

  1. 日本に住んで半年経った時点で国籍再取得の申請ができる
  2. 申請先は法務局(出張所)で要予約
  3. 申請してからどれくらいで再取得できるのか、その期間はわからない

特に3番の事ですよね。だって、私たちの場合はおそらく長期ビザの更新が難しいので、半年で申請して、それから半年経って再取得できなければ妻子はタイに戻らねばなりません。すると自然、再取得もおそらく叶わないでしょう。

■国籍再取得

ここで結果を言いますと、申請してから二ヶ月程度で国籍再取得はできました。それまでは誰に聞いても「申請から再取得までの期間」は回答してくれなく、その中でも唯一、担当部署ではない人が

「出生届(出すのを)を忘れただけなんだったら、(申請してから)1-2ヶ月で取れるんじゃないんですかねぇ…」

とポロッと言っていたことがリアルだった模様です。少なくとも当時はネットにその期間がどれくらいのものかは目安でも見当たらなかったので、関係職員はきっとその期間は案内してはいけないといったルールがあるのだと思います。その立場になれば、当然のことと思います。

細かいことを言えば申請時に三者面接があったり、きちんとした結婚かどうか、それこそはじめてデートした日時や場所、その内容を記載するような諸々の書類があったりして色々審査されるわけで、実際何年もかかるケースもあるようです。

また、再取得申請ができる最終期限は本人が成人するまでとなっていますが、「申請は早い方が良い」みたいです。

受け取り時も軽い三者面接があり、その他手続きも含めて妻子が日本に居た期間は全部で10ヶ月程度でした。

■まとめ

これをひと言でまとめると、

「出生届を忘れるな」

これに尽きますね。これは何もタイに限ったことではなく、海外に住んでいる日本人の教訓です。もちろん、子どもが日本国籍なくても構わないというなら別ですが、何が悲しいって、この手続きをしている時点で娘はタイ人でしかないので、一切の名前はローマ字で書くんです。その時点では日本人ではないので日本語で名前を書いちゃいけないんです。その都度、娘に対して申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

■大切なこと

それから大切な事がもう一つ。私たちはこの件に取りかかる時に明確な方針を打ち立てました。それは、

もし国籍再取得が叶わなかったとしても、良しとしよう。

という 覚悟 のことです。妻も日本に住んでみたい、特に桜を見てみたい、という願望がそもそもあり、国籍云々の話は置いといて、せっかくだから日本の暮らしを楽しもう、という事が一つ。今ひとつは、私にとっては親孝行にもなるのです。海外暮らしで孫の顔もロクに見せてやれない状況のなか、孫と一緒に暮らせる、これほどの親孝行はないと思いました。

なので最悪の場合を覚悟し、それを妻とはっきりと共有し、また実家の両親にも伝えておきました。これがあった為にずっとどうなるかが分からない状況が二年ほど続きましたが、不思議とストレスもなく乗り越えられました。

■おまけ

ちなみにこの話をする時、ほぼ100%の確率でみんな出生届のことを「しゅっせいとどけ」と言いますが、正しくは「しゅっしょうとどけ」です。