おもしろき こともなき世を おもしろく

  1. 粋華志義
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【人間力第106回】太平の世の落とし穴

我々は、歴史からものごとを学ぶことが出来る。中世以来、現在までも含めて江戸時代ほど長く続いた時代は、ない。264年の歴史がある。この時代、始めこそ内乱があったがその後の平和により、自己啓発をするという緊張感がなくなり、幕府の中で魅力ある人物があまり出て来なかった。その事を司馬遼太郎氏がまた感服させられる表現で記してあったので、そのまま紹介する。

「ヤクニン」という日本語は、この当時、ローニンという言葉ほどに国際語になっていた。ちなみに役人というのは、徳川封建制の特殊な風土から生まれた種族で、その精神内容は西洋の官僚とも違っている。極度に事なかれで、何事も自分の責任で決定したがらず、ばくぜんと、「上司」という言葉を使い、「上司の命令であるから」といって、明快な答えを回避し、あとはヤクニン特有の魚のような無表情になる。

上司とはいったいたれか。その上司とかけあおう。

と、外国人が問いつめてゆくと、ヤクニンは言を左右にし、やがて「上司」とは責任と姓名をもった単独人ではなく、たとえば「老中会議」といった煙のような存在で、生身の実体がないということがわかる」

一方幕府外でも幕末時、士農工商という階級の上にいた特にこの武士、さらに言うと武士でも身分が高い上士の方が堕落してしまった部分も伺える。

これは仮説だが、今の世を江戸時代の“太平の世”と同様に考えられないだろうか。勿論、諸事ものごとが異なっているのは承知の上だ。しかし、こと平和という視点から覗いて見るとどうも見逃せない。誤解していただきたくないのはこの太平の世の事を否定しているのではない。現に江戸文化というのは当時世界で最も華があったと言われる文化であることを私は誇りに思っているし、武士道が確立されたこの時代は現代日本人の性質の基盤になったものだとも考えている。例えば、現代日本人が一分という時間にも気を配るのは、この江戸時代“時泥棒”という言葉が生まれるような文化があったからだ。そんな筆者の意見は別として、とにかく言いたいことは、人間とは平和ボケをしやすいものだ、ということであり、その平和が今の時代に例えることが出来るならば、我々はそれに溺れないように肝に銘ずべきことだということである。

そしてこれは、例によって自己啓発にも置き換えられる。政権には革新派に対する保守派がいる様に、人はあらゆる自分の今までのやり方をわざわざ変えたがらない、いや、変える必要性すら感じない人もいる。極論として、この保守派を貫き通したら、10年後は何も変わっていない。自己啓発とは、そういった自分の心の中にいる保守派に負けない様に現在の状況から革新していくものだ。何度も繰り返すが、平和が悪いというわけではない。むしろその状況まで持っていった先人や、こと自分単位で考えればその自分をも誇りに思えることであろう。そしてここの平和まで上り詰めた状態からさらに、自己啓発を行えば、また次の発展が遂げられるのだ。

自分はもう一言これに付け加える。まるで全てを変えなければならないと言っている様に聞こえるかも知れないが、それは大間違いである。変えるべきではない部分と、変えてゆく部分に分けることだ。人はもはや変化しなければ生きていけない、この世の中である。だからといって何でも「自己啓発だから」なんてしていたら、ついには自分というものを見失いかけない。そういった時に、

「初心忘るべからず」

という言葉があるのだろう。芯を持つことが大事なのだ。そういった意味も含めて第一章の「自己啓発をはじめる前に」を再確認してある。また、たまには自分のことを本当に知っている幼馴染の友人にも、耳を傾けるようにもしている。

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