粋華志義

秀吉の着想

「やはりだめか」 と、現場の奉行たちは、水勢をぼう然とながめながらつぶやいたりした。

秀吉はしかし望みを失わなかった。この男は自分の着想がかつて失敗したことがないということを知っており、着想が悪いのではなく、着想を実現する方法がみつからないだけのことだという程度にしか考えていなかった。秀吉は方法の発見に苦しめばよかった。この種の男には望みをうしなうということが、本来ないのかもしれなかった。