粋華志義

忠誠心

 「日本人はその主君に対して忠誠心がない」

と、戦国期に渡来した南蛮の宣教師がローマへ書き送った報告書のなかで語られている。「機会さえあれば主君の座をうばったり、敵に通じて寝返ったりする」という、その観察は、多くの実例があるために不当であるとはいえない。

家康はこの日本人に忠誠の倫理を教えるために儒教をとり入れ、やがて江戸教養時代がはじまるのだが、且元は南蛮人が指摘した観察の実例たるべき人物であった。