粋華志義

【第1回】ジュエリーを本気で考える ~カルティエとの出逢い~

筆者の学生時代、
上京した時に私は西洋かぶれしてしまいました。東京のそこにいる皆が皆、
ヴィトンのバッグを肩に提げ、
グッチの財布を持ち、
ティファニーのリングを指にハメていました。
ズボンのことを「パンツ」と呼び、その発音も微妙に違う。
そんな些細なことでも当時の筆者には何から何まで衝撃的で、
ブランド物を持つその人たちがやけに“都会人”に見えて
素直に「カッコいいな」と思っていました。
筆者より地方から出てきた人も多かったのに。

そこで、
「自分も何か好きなブランドを持とう!」と決めました。

しかし、
人と同じものを持つのははじめから嫌でした。

当時の周りではまずダントツにヴィトンが多かった。
男女問わず持っていたし、特に女性は100人いたら
90人は何かしらのヴィトンを持っていたのではなかろうか。

かといって所持して誰にも気づかれない、
というのも寂しい。

第一流のブランドで、
あまり人が持っていないもの、そんなものはないだろうか――。

そんな時、
女性の友人から「カルティエの財布買わない?」と
偶然勧められたのです。

見るとそこにはカルティエを代表するあのボルドーカラー、
当時より赤色を一番に好んでいた筆者は
それに一目惚れをしたのでした。

今思えばこれがカルティエとの出逢いだったのですが、
今も筆者のポケットにはこの時の財布が入っています。