ではこの金高騰はバブルなのでしょうか。そもそも金という資源価格は「実需の裏付けがある部分」と 「膨張するマネーの部分」の二重構造になっています。
限りある資源が実際の需要によって買われるという“非バブル”の部分と、投資目的で買われてその信用が収縮現象を起こすことで たちまち暴落する可能性のある“バブル”の部分とがあります。
その実需の部分を地上在庫の数字で見てみると図のようになりますが、この数字を大幅に上回る投資マネーが動いているのです。
その規模は30兆ドルを超えるという声もあり、どこの数字を見ても地上在庫以上の投資マネーが流入していることは間違いないようです。
これを、バブルと言わずに何といいましょう。バブルは果たして、はじけるものであります。はじけないものはバブルではありません。
それがいつなのかは私には解りませんが、前述したように近未来なのかも知れません。
ただし、長期的にみるとまた騰がることは充分に考えられます。
それは20~30年後に来るであろう「金が枯渇」する要因と、実需の部分があるからです。
今や経済成長が著しい中国とインドが、揃いも揃って金大好き大国であります。
この大国が“大国”である証拠に、その人口もダントツで世界第一位、第二位であります。
文明が発達すればするほど工業製品に金は使われ、それ以上にこれからの中国、インドの実需は増えていくのでしょう。
だとすれば、投資マネーによって作り上げられた“バブル”の部分は近未来に一度暴落し、その後また実需の範囲内である“非バブル”の部分が騰がっていくのではないのでしょうか。
それは誰にも解りません。
解りませんが、今後数十年の内に、金が何回か異なる存在として変化していくことが考えられるのです。