粋華志義

【第34回】金は売り時?買い時?

このタンス鉱山には時にプラチナも採掘されます。

プラチナはPt900やPt950といった純度が多いので、
この場合(素材は変わりますが)、
含有率は90%以上というものになります。
その埋蔵量はと言うと、
実は解りません。

それもそのはず、
この“タンス鉱山”は筆者が呼称しているにすぎないため、
どの機関でもその数字を発表していないのです。

ただ、
推定として―あくまでひとつの目安として―都市鉱山の1割でも680トン、
タンス預金の1割としても750トン(30兆円×10%÷4,000円)ありますから、
どんなに低く見積もってもその規模が小さくないことは察しがつきます。

また、矢野経済研究所の調べにおいて、
1960年から2008年までの国内ジュエリー市場規模(小売金額ベース)を
総合計(累計)したものに約60兆円という数字があります。
そして、同研究所ではこのうちの価値ベースとして20兆円を推計としています。

これら価値ベースの中には、
1.ダイヤモンドなどの宝石類
2.プラチナ素材
3.金素材
と大まかに3種類に大別できそうです。

これを単純に3分割すると1,666トン(20兆円÷3÷4,000円)もの数字となり、
金だけに着目してもやはり1,000トン以上はあると考えられるのです。

いずれにしろ、
一兆円産業の大台をはるかに上回るタンス鉱山があることは間違いありません。

削減できるCO2に関しましては、
都市鉱山と同じく(天然鉱山の)50分の1です。

都市鉱山が廃棄物の中から金を取り出す作業を考えれば、
その必要がないタンス鉱山はより地球にやさしいはずです。
タンスの引き出しを開け、金の塊を取り出すだけなのですから。

もうお解りの通り、
経済産業省の担当の方が
「そんなことが、あり得るのですか!?」と驚いたのも、
物質・材料研究機構のK氏に
「それにしても良いネーミングですね」とご感心をいただいたのも、
このタンス鉱山の存在によるものです。