粋華志義

陽気陰気

(幸若舞とおなじだ)

と、秀吉はかれの好きな芸事で思った。舞手のなかでも陰気な芸と陽気な芸がある。陰気な舞手はうしろめたく舞うがためにたとえたくみに舞ってもひとびとはその巧みさよりもその欠点に目がゆく。逆に陽気な舞手ならば、舞手自身がわが芸を大肯定しているがために少々下手に舞っても、観衆はその陽気にまどわされ、つい欠点に目がゆかず、長所にのみ目がゆく。