粋華志義

まことに遺憾2

うお~、今読んでいる本にまた出てきた。

日本は伝統的に、金と銀の差がすくなかった。国際的な金銀の価値体系からみると、金が法外にやすいために、外国人は銀を持ちこんで金と交換するだけで、大きな利を得た。徳川初期以来、オランダ人が巨利を得てきたのは、正当な貿易による利益よりも、この面に負うところが大きい。
 その上、国内の金銀換算がまちまちであるため、外国商人が洋銀をもって日本の一分銀と交換し、その一分銀で日本の金貨(小判その他)を買えば、百ドルのかねでそのまま三百五十ドル儲かるという計算になった。
 井伊はこの面を国内的に整備せずに各国と通商条約を結んだために、あっというまに日本の金が海外に流出し、その傾向がいよいよはなはだしくなっている。
 この信じがたいほどの失政を、井伊は幕府の秘密にしてしまったため、一般では開国による物価騰貴が異人が経済をあらすためであるとしていよいよ攘夷熱が高まったが、実際には井伊が右の面の感覚と配慮を欠き、さらにそれを秘密にしていたための開国貧乏であったといっていい。
――「胡蝶の夢」より抜粋

そういえば、今回の龍馬伝でも久坂玄瑞が龍馬に説明してましたな。

ん~、まことに遺憾であります。