粋華志義

龍馬の哲学「じっと機会を待て」/元始元(一八六四)年六月二十八日

あの小野小町が詠んだ名歌にしても、実際日照りが続く時には、絶対に雨は降らないものです。
あれは北の山が曇ってきたところをそっと観察して知った上で詠んだのです。
新田忠常が太刀を海に捧げて潮を引かせたのも、干潮の時間を知っていたからなのです。
大きい仕事をする者は、時期を見てやることだ。
ねぶとも十分腫れるまで待たないと、膿を出そうと思って刺した針に膿は着いてきませんよ。
おやべさんにはもう子供ができた、という人がいます。
どうなのか、私が言っている、と伝えてやって下さい。かしこ。

六月二十八日    龍馬

おとめさまへ
この手紙、ほかの人には決して見せないで下さいよ、かしこ。