粋華志義

【人間力第65回】哀の攻略法

 生きていれば哀しいこともあるだろう。
そんな事がない、なんて人は、人間ではないと思う。お笑い芸人だって哀しいことはいっぱいある。全ての人間は早かれ遅かれ、大なり小なり、必ずこの哀しみの感情を味わう。先に記述したものと少し矛盾してしまうかも知れないが、怒の感情の時の様に、「感情に舵を取られてはならない」とは実は言い切れない。厳密に言わせてもらえるならば“いつまでも”という言葉が文頭に付け加えられるだろうか。つまり、哀の感情にいつまでも舵を取られてはならない、という事になる。

この感情の攻略法とは怒の時と本質が少し変わってくる。それは、

初めは哀の感情の向くまま、舵を感情に一時的にまかせる

ということだ。ここで、“涙”という言葉が出てくる。涙とは哀だけではなく感情の結晶で、人間に唯一残された素晴らしい能力である。「男は泣くな」などと言われるが、そうとも思われない。(ただ、小さい事でめそめそと泣いているようであればそれはそれで問題だが・・・)この感情の結晶でもある涙こそ、最も人間らしい動作の一つなのだ。ここでただ泣くだけではない。