粋華志義

【第5回】ジュエリーを本気で考える ~16倍の価格設定~

筆者がバンコクの生産工場に勤めていた時のこと、
いつものようにジュエリー雑誌を見ては勉強していました。

そこにはカルティエの、とあるリングが載っていました。
自分の「ジュエリーの目」を養うためには
高級ジュエリーをまず見るのが一番だと思っていた筆者は、
定期的にブランドジュエリーを意識して見るようにしていました。

「これが高級で良質のジュエリーだ」
と目に焼きつけ、脳にインプットしていたのでした。

この時には、
「カルティエ」というその5文字を見るだけで「きれいだな」と
無意識のうちに思うまでになってしまいました。

価格は、25万円。

そのブランドプライスも、
感覚として覚えていくように心がけていました。

ところでこの25万円、原価はいくらくらいなのだろう?

ふとそう思ったのは、
生産工場に勤務していた筆者にとっては、
当然の疑問だったに違いない。

すると、
どう計算してもその原価はせいぜい1万5千円程度なのです。

なんと、16倍以上もの価格がついている。

当時、
「卸価格」で仕事をしていた筆者にはこの
「16倍」という掛率が強烈なインパクトなのでした。