粋華志義

【第7回】ダイヤモンドのスマートな選び方 キャラットのまとめ

矛盾するようですが、
かといって0.99ctのダイヤモンドがジュエリー店でそうあるということでもありません。ほとんど置いていないといってもいいでしょう。

この仕組みが消費者の方に知られていないというのもありますが、単純に、需要自体は1.00ct以上にあります。特に日本国内では。それ以外にも0.49ctよりは、人は0.50ctを求めるでしょう。

こういった需要もそうですが、ダイヤモンドを扱う側にとってもこうした「キャラ落ち」のものよりキャラアップのものの方が高く売れますので、一般に善意を込めて価値あるものの方を進めるものです。というよりも、ジュエラーであればそうする“立場”にあるのかも知れません。

いずれにしても、
ジュエリー店ではこうしたキャラ落ちのものよりも、1.00ctアップ、0.50ctアップといった(前回のラパポートの)境界線以上のものを、「付加価値」として付けておススメします。

勿論、
0.01ctでもそのキャラ目(数字)に価値を見出す方もいるので、そうした方はそれがその方にとっての選び方であり、それが「損をしている」だとか「スマートじゃない選び方だ」と言っているのではありません。

ただ、
ダイヤモンドの重さと価格はこのように決定されるので、これを知ることによりひとつ合理的な選択肢が増えます、ということなのです。

実際、
海外ではこのキャラ落ちの存在は日本と比べると知られ、人気がある穴場、“ダイヤモンド通”が狙うポイントとなっています。

中には、
予算を重視する方もいたり、キャラットよりもその他の(後述します)グレートに重点を置く方もおられますので、そうした方には知っておきたい裏技と言えるでしょう。

また、
このご紹介した「区切り」は毎回同じなので、購入される前にどこかにメモされても良いかと思います。

それから、
さらにこの裏技を如才なく解説いたしますと、キャラ落ちのものは果たして、カットグレードが良いということです。

前述しましたが、
キャラ目をキープするために、カットをしない場面というのがよくあります。これも後述しますが、カットするということは研磨してゆくことなので、自然重さ的には軽くなって、大きさ的には小さくなります。

つまり、
0.99ctや0.49ctなどの石は、「実は1.00ctアップ(0.50ctアップ)をキープしたかったけど、プロポーション(カット)を追求するあまり、キャラ目(重さの数字)が落ちてしまった」という背景が伺えるのです。

なので、
キャラ目が落ちてしまった以上、存分に良いカットがなされているはずです。

 

まとめ

まとめますとこのからくりは、
単に価格が割安になるのとこのグレードアップの二点がメリットとしてあげられ、デメリットとしてはキャラ目の“数字”だけ、となります。何度も言いますが、0.01ct程度の差異は外観では絶対に判りません。

なお、
改めて申しますが今回ご紹介した価格は数あるグレードの中の一例にすぎず、相場ではありませんことを再度確認させていただきます。グレードが良くなれば価格の開きは大きくなり、グレードは低くなれば自然開きは小さくなります。

さらに、
今回お話しました内容はジュエリー店がダイヤモンドの「仕入れ」をする段階でのお話となります。ジュエリー店が店頭で販売する上代の前の段階となります。

私がイスラエルでダイヤモンドの仕事にいた時、その現地企業では某ブランドCやブランドBのバイヤーも仕入れに来ていましたが、同様に前述した内容で取引しています。

ダイヤモンドを、こうした視点からもこだわりたいのであれば、まずはこうした要望にも応えてくれるような信用あるジュエラー、特にダイヤモンド取引をしている人を探すのが良いかも知れません。

4つのCをはじめとするこのグレードがひとつ違うだけで、大きく価格差が生じるのがダイヤモンドです。それでは、次回からは次のCを解説していきたいと思います。