粋華志義

【第6回】ダイヤモンドのスマートな選び方 ラパポートのからくり

それでは早速、重さと価格(指標)の関係値を見て参りましょう。

緑の縦棒がラパポートに載っている指標です。ここでは、ある時期のラパポートプライスから、 ある同様のグレードを重さ別にグラフにまとめてみました。

赤色の縦棒はラパポートの指標に重さをかけた数字、 つまり一個あたりの価格です。 (ラパポートプライスは1ctあたりの数字で、 それに1個あたりの価格を算出するには重さをかける必要があります)

何か気づきませんでしょうか。

そうです、 ダイヤモンドの取引の元となるこのラパポートプライスというものは、 重さにいくつかの「区切り」を設けているのです。

要するに、 0.45ctと0.46ctでは0.01ctしか変わらないのに ラパポートプライスだと$500も変わってくるのです。 価格に直しますと$1,395(0.45ct)と$1,656(0.46ct)の違いです。

それから重要なことがもう一点あります。 グラフを再度ご覧ください。 0.23ct、0.50ct、1.00ctの部分が他のそれに比べ 高くあがっていることが解ると思います。 これはダイヤモンドの希少さを裏付けるもので、 且つ需要とのバランスも伴った特殊な現象と言っていいでしょう。

1.00ctの区切りを、ダイヤモンド1個あたりの価格で見ると $6,930(0.99ct)と$10,200(1.00ct)の違いです。 このように、1.00ctの境目ともなってくると価格の差が大きく生じてきます。

くどいようですが0.01ctとは微妙すぎるほどの重さ(0.002g)であり、 世界のどんなダイヤモンド専門家でも見た目では当然解りません。 外観的価値は(判別できないほどに)変わらないのに、 価格的価値は3割も違ってくるのです。

このような世界なので、 ダイヤモンドのカット職人は1.00ctギリギリのダイヤモンドをカットする際は 文字のごとく死ぬ気で全神経を集中して研磨していきます。 1.02ctや1.03ctなどのカットグレードを良くするよりかは、 1.00ctをキープするために意図的にリカットをしない場面もよくあります。