おもしろき こともなき世を おもしろく

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考え方次第

男:「よし!声かけてみよう」その男は、19歳。場所はジュエリーショー、何百万、何千万の取引が行われる展示会会場。男は父親の持つジュエリー工場の営業に来ていた。

男:「でも、断られたらどうしよう・・・」

社会経験もない男が、ただでさえ高級商品を扱っている会社に、しかも彼にとっては海外の会社に営業をかけにいこうと決意を固められずにいる。恐い、自分みたいな未成年を展示会に出すような立派な会社が、自分を相手にしてくれるだろうか。いや、十中八九、相手にもしてくれないだろう。ならば、行く必要などないのではないか。

男:「でも、行ってみなければわからない」

もうどれくらい自問自答してうろうろしているのか。ついに一緒にいた彼女が口を開いた。

女:「行って話さないと解らないじゃない。話しても無理かもしれない、でも、話さなければ絶対無理。同じ無理なら、やってみて無理の方がいいでしょ」

このようなやり取りがあって男はついに決意し、日本企業のブースに営業に来たのである。それが、私と彼との出逢いだった。

それから10年後、彼を日本に連れていく機会があった。連れていったのは、彼だけではなく、10年前に最後の一押しをした彼女、それに2人の間に授けられた3人の子供のうち2人、計4人であった。

カ:「疲れた?」
男:「疲れた」

電車の移動手段がメジャーな日本は、どうやら車生活の彼らにとってフラストレーションが溜まるようであった。いや、それは的確な言い方ではない。要は彼ら2人だけならよかったのだが、まだ3歳の子供を連れて観光するのに、その面倒を常時みていては正直観光どころではない、という場面がしばしばあったのだ。それを見守り、フォローしてはいたが、しばしば口にする「疲れた」という彼らの言葉に、ちょっと投げかけてみたのだ。2人きりになった時に。

カ:「何が疲れるのだ?」
男:「ボクら2人はいい。子供の面倒を見るのが、大変だ。こんなことなら、連れて来なかったらよかった」

カ:「でも、もう連れてきてしまっている」
男:「そうだ、だから次回は是非とも2人で(日本に)来たい」

カ:「疲れた、と言ってどうなる?疲れが取れるのか」
男:「取れない」

カ:「だったら、口にしないでくれ。口にすると、周りの人達まで疲れさせてしまう」
男:「そうではない。子供を連れて観光するのは、不便だと言うことを話している。疲れた、と不便、は違う」

カ:「同じネガティブ発言だ。どちらも、言ったところで今の現実が治るものでもない。むしろ、周りの人達を疲れさせてしまう」
男:「それもそうだな」

カ:「それに何が不便なのか。100年前だったら飛行機に乗ってこうして日本に来ることさえできなかった、電車でこうして観光するのもできないし、そもそもボクたちは出逢ってもいない。そんな世の中の何が不便なのか」
男:「その通りだ!解った、疲れた、とはもう言わない。彼女にも言っておく。それに今ほど便利な世の中はない。疲れた、というより楽しい、と言って今の観光を楽しむことにする。せっかく来たんだから」

知り合ってから10年、こんな話も時折したりする間柄だ。そんな彼との昨日の会話。

男:「彼女はできたか?」
カ:「いや、最近ダメだね。10年前と比べると全然違う。年とったかな?」

男:「それは違うぞ。まだ全然イケるじゃないか。年なんて関係ない。それに、10年前には戻れないんだから、そんなこと言ってもしょうがないじゃないか」
カ:「・・・」

今まで自分が彼に言ってきたことを、そのまま言われている、と思ったのと同時に、確かに、ネガティブな言葉を扱っていた自分に気づかされた。言葉は脳が指令を出している、つまり思考もマイナス思考になっていることを意味している。なるほど、自分は自分でこの思考について日々鍛錬をしているのだが、まだまだ至らないらしい。今一度、改めてみようと思います。

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